栗原和枝研究室

東北大学 未来科学技術共同研究センター(NICHe)多元物質科学研究所

表面力セミナー

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2004年 第4回表面力セミナー

(1) ソフトコロイドと磁場

信州大学理学部 尾関寿美男
磁場による様々な分子集合系の構造と機能の制御を目指した研究を行った。具体的には、磁場によるリポソームの融合・分裂制御、脂質膜の分子透過性制御、 温度応答性ゲルとして知られるポリ-N-イソプロピルアクリルアミドを磁場中で調製することでサイズ制御や異方性の付与、有機-無機ハイブリッドの磁場に よる配列や構造変化、メソポーラスシリカの構造および細孔系制御などの研究を行った。

(2) ナノコピー法による3次元構造を持つ超薄膜の作成

理化学研究所フロンティア研究システム 藤川茂紀
ナノメートルサイズの3次元構造体の作製技術は、ナノテクノロジーにおいて重要であるが、いまだその手法は開拓されていない。ここでは、鋳型となる分 子、超分子、ナノ粒子、表面形状などの形状をゾル-ゲル法により調製したナノ薄膜でコーティングし、鋳型を除くことでその構造を正確にコピーする方法を提 案した。構造を正確にコピーすることで、分子認識能をもつ材料を調製できる可能性がある。

(3) 結晶表面に挟まれた水分子の挙動-分子シミュレーションとずり共振測定

東北大学理学研究科 佐久間 博
ナノ共振ずり測定法と分子シミュレーションにより固体表面(粘土鉱物)の間に挟まれた水分子の物性を評価した。分子シミュレーションから固体表面近傍の 水分子の流動性はバルク水と大きく異なるものではなく、またナノ共振ずり測定からは、雲母表面間の水は厚さ1.8 nm以上ではバルク水と同じ粘性を示すことが分かった。

(4) 転写因子タンパク質とDNA間の相互作用直接測定

東北大学多元物質科学研究所 清水裕一郎
コロイドプローブ原子間力顕微鏡法により表面に配向固定化した転写因子制御タンパク質とDNAの相互作用を測定し、タンパク質による特異的な塩基配列の認識による相互作用の違いを評価した。DNA配列中の1塩基の違いによりDNA-タンパク質間の相互作用力の変化が観測され、特異的認識に効果的に作用している塩基を推定した。

(5) ポリペプチドの異なる環境下での構造安定性とAFMカンチレバーを用いた1分子操作

分子科学研究所 岡崎 進
コンピュータシミュレーションにより、脂質二分子膜中、真空中、水中に置かれたポリペプチド(グラミジンA)の安定性をにおいて計算し、その違いを詳細 に議論した。また近年、原子間力顕微鏡により測定されているタンパク質1分子を延伸する過程に働く力を、コンピュータシミュレーションにより再現し、延伸 過程で生じる力の起源について考察した。

(6) ハイブリッドバクテリアを用いたべん毛モーターのエネルギー変換・情報伝達機構の解明

名古屋大学工学研究科 石島秋彦
バクテリアのべん毛モーターにはH+駆動型とNa+駆動型が存在し、Na+駆動型はNa+濃度により回転制御や、イオンチャネルを特異的阻害が可能で機 能解析に適している。しかし、Na+駆動型モータ(海洋ビブリオ菌)のべん毛は極毛であり、回転の計測は容易ではなかった。そこでNa+で駆動するNa+ 駆動とH+駆動のキメラモーターを大腸菌に発現させ、その回転過程の計測を可能とした。この手法により回転の素過程の研究を行った。

(7) ポリマーゲルと界面活性剤の相互作用

花王(株)/東北大学多元物質科学研究所 村瀬靖幸
ポリマーゲルは柔軟性と機能性を併せ持つ材料で、周囲の温度、pHなどの外部環境に応じて体積等が変化する特徴をもつ。この特徴を分子レベルから理解す ることでより高度な製品開発が可能となると期待される。本研究では、N-イソプロピルアクリルアミドゲルへの種々の界面活性剤の吸着・脱着が体積相転移に 与える影響について系統的に研究した。

(8) 界面におけるアミド分子マクロクラスターの特性評価

東北大学多元物質科学研究所 中川康宏
アミド(プロピオンアミド、N-メチルプロピオンアミド)-ベンゼン2成分液体中のシリカ表面に水素結合により形成されるアミドマクロクラスターをコロ イドプローブ原子間力顕微鏡法、全反射赤外吸収スペクトル、AFMイメージングにより評価し、その構造、厚さ、クラスター成長機構について得られた知見に ついて議論を行った。

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